『縄文と世界遺産~人類史における普遍的価値を問う~』世界は縄文をどう評価したのか
読んでみました、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に関わってきた方が書いただけあって、世界遺産登録までの経緯がよくわかります。
気になった部分のメモ( ..)φ
〇縄文文化の複層性
〇1995年以降、文化多様性を反映→これまでに知られていない地域、文化、さらに保存状況の遺跡にもスポットが当たるように
〇シリアル・ノミネーション 確固とした政治的権力が存在せず、文化的中心を持たない狩猟採集民の時代において「縄文文化」をいくつかの遺跡によって代表すること自体が難しいこと、一万年以上に及ぶ縄文時代全体をカバーするような単独の遺跡を想定できないことが要因→「同じ歴史文化グループ」の単位として「地域文化圏」が抽出された。
〇真実性 ヴェニス憲章1965 推測に基づく修復と復元を厳しく戒める
〇インタープリテーション(伝える手法)のための保護施設 周囲に遺構があること を明示し、来訪者の理解増進を図るとともに、地下の遺跡を保護する機能を備えた→『立体表示』
〇狩猟採集民Hunter/Gathererハンター/ギャザラー※
相対的に移動性があるものForagerフォーレジャー
より定住性が強いものCollecterコレクター
※狩猟採集民Hunter/Gatherの分類
①非定住で誘導生活を行う古典的狩猟採集民=遊動民(ノマド)
➁定住し特定の植物の栽培(園芸・園耕)を行う者
③大集落や大型建物を造り、他地域の集団と物資の交易をおこなう「複雑な狩猟採集民」(コンプレックス・ハンター・ギャザラーcomplex hunter- gatherers)
または「豊かな食料獲得者」(アフルエント・フォーレジャーafflent forager)と呼ばれる集団
※狩猟採集民の特徴
①少数の集団(子どもの出世間隔が比較的長い)
➁広い地域に展開して定住する(低い人口密度)
③土地所有の概念がない(共同利用)ただし、縄張り意識はある。
④主食がない(多様な食べ物)
⑤食料の保存は一般的ではない。
⑥食物の公平な分配と共食
⑦男女の役割分担
⑧リーダーはいるが原則として身分・階級制はない。
⑨自然の知識と畏敬の念に基づく「アニミズム」(自然信仰)
⑩散発的な暴力行為・殺人はあるが「戦争」はない。